先日の関西出張時、見学できた「民族学博物館」の一展示。
きっと日本民族に特化した展示内容では、という想像とは違って、
さすがに「万博記念公園」のなかにあるだけあって、
世界の民族についての博物、というまことに広範囲な展示館でした。
こういった展示内容とは知らずに来た当方の勘違いなのですが、
そうなると、各民族での「住まい」への対応の違い、
歴史的感覚の違いなどが面白くてこれも夢中にさせられておりました(笑)。
展示はやはり、衣食住という人間の基本に絞っているので、
そういう意味で、相違と共通性がうかがえます。
で、最近のわたしのテーマ・人類史研究で未経験の非農耕の暮らしに
一番近縁性がありそうなモンゴル・ゲルに惹かれていました。
「遊牧」というライフスタイルは、狩猟採集ではなく、
一種の農業形態というように見なせるのでしょう。
〜天然の水,草を求めて定期的,周期的に移動しながら
家畜を飼育する粗放的な牧畜形態。一般に放牧形式がとられ,
一定期間定住して牧草が乏しくなると新しい土地へ移動する。
移動方向は,ツンドラや乾燥地域では水平移動が行われるが,
高山地域では山と谷の間の垂直移動がみられる。
家畜は地方によってさまざまであるが,牛,羊,やぎなどが多い。〜
<以上、コトバンクよりの引用>
主要な「生産品」は乳製品となるそうですから、農業の一分野でしょう。
しかし、農業一般の「定住」ベースではないので、
住宅という概念で考えるとかれらの移動住居というのは、
そのルーツは狩猟採集時代、石器時代以来の住文化を
ある部分では継承しているのではないかと類推させる。
そんな先入観で見ていたのですが、展示されたゲルには、
先端的な衛星放送アンテナや太陽光発電装置などが付設されていた。
こういった現代エネルギー装置の導入が目覚ましいということ。
「木製の格子を広げて地面に立て安定させてフェルトで覆う。
入り口から入って右側に台所があり女性の座とされる。
反対の左側が男性の座とされる。」と説明されていました。
空間デザインとしては、フェルト越しの柔らかな光環境、
構造の木格子が基調を構成していて、
ほぼ円形の間取り感覚もあって、むしろ未来的デザインを感じた。
エネルギーの面でも、こういう非都市的、非定住的な暮らし方を
現代的エネルギーは大いにサポートする面があると気付かされた。
移動性と居住性との接点として、興味深い住居形式だと思います。
それと「男の座、女の座」というのは朝鮮民族とも共通し、
日本とも連関性が高いと思われます。
広さも現代の夫婦を基本とした関係には適度なサイズなのかも。
この骨格構造の格子の寸法規格を今度調べたいなぁ・・・。
Posted on 2月 13th, 2018 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 住宅取材&ウラ話
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